
家相と風水。一般人には区別しづらいですよね。
この記事では、家相と風水の違いや共通点をわかりやすく説明していきます。
大まかに言うと、家相は住宅そのもの、風水は「気」に焦点を当てています。
形や配置など見えるものを重視するか、星回りなども含めた見えないエネルギーを重視するかの違いでもあります。
家相は「みんなにとってこれは吉、これは凶」とバッサリ判定しますが、風水は「吉凶は人によるし、こういう対処法もあるよ」と言ってくれます。
風水は家相と比べると柔軟な開運術ですが、そこに優劣はありません。
両方の特性を知っておくと、住まいや環境を考えるときに貴重なヒントをもらえます。
家づくりや引っ越しの予定がある人も、ない人も、ぜひ読んでみてください。
取材・文
長谷川 恵子(ライター・編集者)。
企業勤務を経て、フリーライターとしてビジネス誌や企業、自治体の広報誌の取材・執筆に携わる。現在は書籍制作とWebライティングで多忙な日々。
監修:横浜中華街「盛華」
陣崎 マリア(風水師・九星気学鑑定士)
横浜中華街コンシェルジュ。運勢・運命・家相・方位鑑定を得意とする。手相でもプロの資格を持つ。
張 愛りん(風水師・九星気学鑑定士)
横浜中華街コンシェルジュ。サイキック能力を活かした運勢・運命鑑定を得意とし、 西洋占星術の資格も持つ。
家相は「欠け」や「張り」=形で吉凶を占う
家相は、風水と同じく中国がルーツで、その後日本で独自の発展を遂げてきた鑑定方法です。
相には「かたち」という意味があります。人相占いが人の顔形から運勢を判断するように、家相の場合も、その見た目から吉凶を占います。
家相とは、間取りや建物の形と各方角との関係で吉凶を判断するものなのです。
前提としては、たとえば、家または部屋の中心から見て東の方角には発展運や人気運があり、南の方角には仕事運や知識向上、名誉、地位運があり、どちらも吉の方角とされます。
これは「万人にとってそうである」という立場です。
たとえば、家相的に吉とされている方角に、張り(出っ張った部分)があるような家では、住人みんながその運の恩恵を受けられるので、吉相と解釈します。
もし、吉の方角に欠け(へこんだ部分)があったりすると、その運勢が欠けてしまうので、みんなにとって凶相であるという解釈になります。
住む人の生年月日などは考慮に入れず、「形がこうだからこうである」という鑑定になります。
風水と家相の違いは?
家相の特徴は、簡単に言うと、住宅そのものに焦点が当たっていることです。
風水の場合はまず、そこの環境とそこにあるエネルギーを観ます。そしてそこの気が動けるのかどうかを感じ取ります。
風水師が家相を観て、たとえば「ここの部分には気のどん詰まりができてしまう」と思われる場所があったときは、風が通り抜ける所をどうやって作るかを考えます。
もちろん、「風通しを良くすることが大事」といった話は、家相鑑定でも普通に出てきます。
でも、風水の場合は、「風水的に観るとあなたにはこの方角がいいから、またはこの方角には吉祥の気があるから、ここの窓をいつも開けていいエネルギーを入れましょう」というふうに、日常行動のアドバイスもできるのです。そこが家相と違うところです。
また、風水は、「万人にとって良い方角や悪い方角はない」という立場です。
自分にとっては相性の良くない方角でも、他の人にとっては良い方角になる場合もあるし、その反対もありえるということです。
そもそも、家の中だけでなく、土地も含めた外の環境も観るのが風水です。
屋内のある部分が良い状態でなくても、外の環境でそれを補えば、家族みんなの運を守れるという前提で、いろいろな対処をしていきます。
家相と風水には、以上のような大きな違いがあります。
風水では、間取りもエネルギー的に観る
風水鑑定でも、もちろん間取りは観ます。その部屋の配置が、住む人によいエネルギーをもたらすかどうかを判断するためです。
たとえば寝室。一般的な日本の住宅はそれほど広くないので、寝室にできる場所はおのずと限られます。
でも、風水の考え方では、その人にとって絶命といわれる方角があります。その方角には絶対に寝ない方がいいのです。(絶命の方角は、その人の九星と性別から割り出す本命卦で決まります。)
家は基本的に、エネルギーを充電するために帰ってくる場所ですが、寝室が絶命の方角だと充電ができません。しかも、無防備な状態で良くないエネルギーにさらされることになります。
そういう自分にとって一番良くない方角で寝ていると、その人の運勢の巡りの中で、運勢が低くなったときに、健康を損なうという形で影響が出たりします。
そういうわけで、風水では寝る場所がとても大切になってくるのです。

家相と風水では鬼門のとらえ方も違う
住まいの良し悪しを観るとき、必ず話題にされる鬼門(北東)と裏鬼門(南西)も、家相と風水ではとらえ方が違います。
鬼門は、鬼(邪気)が出入りする場所を意味していて、家相が日本に伝わってきた時代からの考え方です。
家相では、「鬼門にあたる方角に水回りや玄関があるのは凶」と考えます。
今でも、鬼門を気にする年配の人は多いですね。
昔の中国では、お手洗いは不浄のものなので、別棟に作るのが当然でした。その頃の日本にももちろん水洗のお手洗いなどはないので、同じように考えられていました。
南西や北東は、本来じめじめしている所なので、そこに不浄のものがあるとエネルギーが落ちてしまい、巡りが悪くなるから、水回りを置くのは避けろといわれていたのです。
でも今は違います。もしかしたら現代の家では、お手洗いをどの部屋よりもキレイにしている家もあるかもしれません。なので、それも当てはまらないようになってきたのです。
もともと風水では、「この方角は万人にとって悪い」という見方はせず、「この方角はそこに住む人にとってどうか」という見方で判断します。
なので、風水的に観ると鬼門は気の安定しない場所なのは確かですが、だからといって絶対に避けるべき方角とは考えないのです。


家相と風水を併用するメリット
風水と家相には、共通点もあります。どちらも陰陽五行の「五行」の考え方を使って調和を図るという点です。
そして、風水と家相のどちらがよい悪いという話でもありません。
ただ、現代の住宅事情を考えると、昔に比べてはるかに制限が多くなっています。家相は非常に形を重んじる世界ですが、実際に住む人は、家の形などは、なかなか簡単に変えられないですよね。
そこで、今はより多角的なアドバイスができるように、風水や他の占術を一緒に入れて鑑定するパターンが多くなっているようです。
家相と風水を併用すると、完璧な間取りではなくても意外な長所を発見できたり、欠点を補う方法が見つかったりするのです。

家相でも風水でも万人にとって完璧な間取りはない
結論として、パーフェクトな家はないと思ったほうがいいです。
風水、家相、あらゆる面でまったく問題のない家を作ろうとしても、まず無理です。


人は、住めば住むほど家のエネルギーを取り込んでいきます。
方位のエネルギーはすぐに現象として出てきますが、家のエネルギーは数年かけてその人に浸透していくといわれています。
そして、たとえ家相で観て運勢上のマイナスがあっても、本人の意識によってプラスに転換していくこともできます。
その家に住むことを本人が「チャレンジ」ととらえることができれば、また、それが必要なタイミングだからこそ、その家と出会ったと解釈できれば、開運することが可能なのです。

その人に合う家という意味では、本人がどう生きていきたいかも重要です。
「これまで突っ走ってきたから、ほっとしたい」「一発逆転で飛躍を図りたい」。人によっていろいろな思いがあるので、それにふさわしい家かどうかを考える必要があります。
そういう意味では、家相における吉相にこだわりすぎないとか、多少の欠けは気にしないとか、そういう姿勢は必要かもしれません。
「良い悪い」ではなく、「自分の特性や、目指す方向に合うかどうか」。そういう視点から考えれば間違いなさそうです。



本当に強運な人は、意識しなくても素晴らしいエネルギーの物件とご縁ができるのかもしれませんね。
万人の運気を下げる間取りはないが、要注意物件はある
パーフェクトな家がないのと同じで、「万人にとって悪い間取り」はないと思ってかまいません。
何度も出てきた話ですが、どんな家が向いているかは人によって違うし、「欠け」などの形の問題は、風水的に対処することができるからです。
ただ、たまに、「普通の間取りだけれど要注意」という物件もあります。たとえば、何らかの事故があったような所です。

本人の運勢リズムが低いときなどは、エネルギーを下げてしまうような物件にばかり出会ってしまうこともあるので、注意が必要です。
さらに、普通の間取りだけれど、誰が住んでも運気が下がる家もあるので、うっかりそういう所に引っ越さないようにしたいものです。
まず、最初に入ったときにどんな感じがするかを大切にしましょう。なんとなく変な感じ、イヤな感じがしたら、それはやめたほうがいい物件です。
場所のエネルギーがよくないときに現れるサイン
- 最初に入ったとき、湿気が多いように感じる
- キッチンの排水口やお風呂場からイヤな臭いがする
- なんとなく部屋が暗く見える
- あくびがよく出る


特別敏感でないとしても、エネルギーを感じとる力は誰にでもあります。
間取り図だけで決めないで、実際に現地に行って感じてみるのが一番ですね。

どうしても違和感があるときは、「条件がいいから」と目をつぶらないで、五感や第六感の導きに従うのが正解です。
まとめ
Summary
- 家相は形で吉凶を占う鑑定方法
- 家相は住宅そのもの、風水は気の流れに焦点を当てる
- 「万人にとってよい方角、悪い方角」があるのが家相、ないのが風水
- 風水は家の外の環境も含めて対処する
- 風水では住む人との相性で方角の良し悪しを判断する
- 風水では「鬼門」は絶対避けるべき方角ではない
- 家相的にも風水的にも、完璧な家は存在しない
- 移り住んだ家のエネルギーとその後の運勢は連動する
- 間取りに関係なく、運が上がる物件もある
- 間取りに関係なく、運を下げる物件もある
- 内見して「イヤな感じ」がする物件は選ばないこと
家相と風水の違い、いろいろあることがわかりました。風水では、家の形や間取り以外にもたくさんの要素を考慮して、その人に合った家や暮らし方を提案していくんですね。人間同士と同じように、家と人も「縁」で結ばれるというお話も印象的です。ご縁のある場所だと思うと、今の家ももっと大切にしたくなりますね。