冬至は1年で最も昼が短く、夜が長い日です。
風水的にもエネルギーが陰から陽に切り替わり、運命を好転させるチャンスがやってきます。
そんな冬至について、さまざまな角度から考察してみました。
「かぼちゃを食べる」「ゆず湯に入る」という風習の由来は?
世界で重要視されてきた冬至のスピリチュアルな意味とは?
おすすめの食べ物や開運行動、そしてNGな行動は?
今回も一般的な知識だけでなく、よそでは聞けないお話がいろいろ出てきます。
じっくり読んで、あなたの素敵な未来づくりに役立ててくださいね。
取材・文
長谷川 恵子(ライター・編集者)。
企業勤務を経て、フリーライターとしてビジネス誌や企業、自治体の広報誌の取材・執筆に携わる。現在は書籍制作とWebライティングで多忙な日々。
監修:横浜中華街「盛華」
陣崎 マリア(風水師・九星気学鑑定士)
横浜中華街コンシェルジュ。運勢・運命・家相・方位鑑定を得意とする。手相でもプロの資格を持つ。
張 愛りん(風水師・九星気学鑑定士)
横浜中華街コンシェルジュ。サイキック能力を活かした運勢・運命鑑定を得意とし、 西洋占星術の資格も持つ。
2024年の冬至はいつなのか
冬至は、北半球では1年で最も太陽が出ている時間が短く、夜が長い日です。
今年はいつ?と聞かれると、「何日だっけ?」と首をかしげる人が多いのは、夏至、春分、秋分などと同じく、年によって日にちが変動するせいでしょう。
2024年の冬至は12月21日、正確な時間(太陽黄経が270度になる瞬間)は日本時間の18時21分です。
日の入りが一番早い日は、冬至ではない
誤解されがちですが、冬至は「1年で最も日の出が遅い日」でも「日の入りが最も早い日」でもありません。
これは、地球の自転・公転と関係しています。
ひとつには、地球が自転する際の地軸が傾いていること。ひとつには、地球が公転する際の動きが楕円を描いていること。
この2つの要因によって、日の入りが早い日は冬至よりも前になり、日の出が遅い日は冬至よりも後になります。
それでも冬至の当日は、12月の他の日と比べると1分~数分の差で日照時間が最も短いのです。
日照時間が最長の夏至と比べると、地域差はありますが、4時間~6時間以上も短くなっています。
冬至とは
冬至とは二十四節気のひとつで、前述のように、北半球では1年で最も日照時間が短い日です。
風水の基本となる陰陽思想では、冬至は陰が極まって陽に転じる日です。この日に占いをすると正確に当たるとされ、宮中では陰陽師が国の運勢や天候などを占ったのだそうです。
陽に転じるとはいえ、その変化はゆっくりです。ちょっと古風な表現では「畳の目ほど日が長くなる」といわれるように、少しずつ少しずつ日照時間が増え、陽の気が増していきます。
1日の時間にたとえると深夜0時。夏至が正午なので、ちょうど対極です。
エネルギーの流れとしては、夏至が山場なら、冬至は谷間という感じです。谷の底から頂点(夏至)に向けて、一歩一歩坂を上り始めるのです
この時期は寒いので、自然界の動きも停滞します。私たち人間の体も縮こまりがちです。
物事が停滞するというお話は、土用の記事でも出てきました。土用の期間の停滞は、季節の変わり目のエネルギー調整のために、物事が進みづらいという意味の停滞です。
冬至の時期の停滞は、草木が枯れて葉を落とすように、いったん動きを止めて新たなものが生まれるのを待つ、再び光が射してくるのを辛抱強く待つイメージです。
冬至にかぼちゃを食べる由来は?
冬至にかぼちゃを食べるようになった由来として、文献には次のような記述があります。
この日に村里を巡って春を呼び戻すという神の子(大子=おおいこ)を祀り、その供え物を神様と一緒にいただく習わしからきているといわれています。
(絵でつづるやさしい暮らし歳時記 新谷尚紀 日本文芸社)
補足すると、かつての日本には、冬至の前後に太陽の復活や神々の来臨を願って行われる祭りがあり、神の子が各地を巡回して人々に幸せや生命力をもたらすという信仰があったようです。(参考:平凡社世界大百科事典第2版)
その行事でよく食されたのが、かぼちゃや小豆粥だったわけです。
かぼちゃにはβ-カロテン、ビタミンB、C、Eが多く含まれ、食物繊維もたっぷり。また、体を温めてくれる作用もあります。
昔の人はかぼちゃの健康効果を体感的にわかっていたのでしょう。冬が極まるこの日にかぼちゃを食べることで、中風や風邪を防げるという言い伝えもあります。
小豆粥は昔から特別な日によく食されていました。小豆には邪気を祓う力があると信じられていたからです。
「ところで、かぼちゃの旬は夏じゃないの?」と思う人もいるでしょう。実際、一般的なかぼちゃの収穫期は夏なので、その頃にもよく食卓にのりますね。
でも実は、食べて本当に美味しいのは収穫から2~3カ月後、つまり秋から冬にかけての時期だといわれています。
かぼちゃは長期保存がきく野菜でもあり、保存中にさらに熟して水分が抜け、甘く美味しくなるのです。
また、皮が黒く、煮崩れしにくいといわれる日向かぼちゃのように、秋から冬にかけて収穫されるものもあります。
そういう意味で、冬至の頃もかぼちゃを食べるのにふさわしい時期なのです。
冬至の食べ物の注意点は?
この時期は寒いので、体内の循環も滞りやすくなってしまいます。いろいろな意味で体が固まっているので、食べ物にも注意が必要です。
動物性のタンパク質や油ものは控えましょう。元々動物性油脂は固まりやすい油なので胃腸に負担がかかり、体内の悪玉コレステロールを増やす原因にもなります。
また、冷たいものの飲食もやめましょう。暖房のきいた部屋で食べるアイスクリームは美味しいですが、体のためを思ったら、温かいおやつに切り替えることです。
外気も乾燥しているので、臓器がカラカラにならないためにも、鍋物や温かいスープなどをとって、臓器も皮膚も乾燥しないように心がけるといいでしょう。
もちろん、冬の五行の食べ物である、「塩辛い・黒い食べ物」(味噌、醤油、梅干し、漬物、根菜類、ひじきなどの海藻類、黒豆、黒ごま、十割そばなど)も意識してとってください。
とくに根菜類は季節を問わず体を守ってくれるので、積極的に食べましょう。
食べ物に関しては、立冬の記事もあわせてお読みくださいね。
冬至とゆず湯
日本には、冬至にゆず湯に入る風習もありますね。
これは江戸時代頃から始まったといわれ、その由来は諸説あるようですが、かぼちゃと同じく「中風や風邪の予防」や、「邪気を祓う」といった目的で広まったようです。
実際、お風呂に柚子を入れると血行促進効果で体が温まるので、この時期の体のケアにはとてもよいのです。
ちなみに、中国には冬至にかぼちゃを食べたりゆず湯に入ったりする文化はなく、この慣習は日本独特のものといえます。
冬至のスピリチュアルな意味とは
魂の再生、再誕生の日
冬至の意味を、スピリチュアルな観点から掘り下げてみましょう。
周の時代の中国でも、冬至が1年の始まりとされていたようです。
現代ではだいたいどこでも1月1日が新年の始まりということになっていますが、個人レベルではもっと自由にとらえてもいいですよね。
「私には旧暦がしっくりくるので、立春をスタートの日にする」「私は新年度直前の春分の日がいいな」というふうに、自分にとっての1年の始まりを設定するのもいいでしょう。
冬至が新しい年の始まりだと感じる人は、この時点で、向こう1年の目標を決めましょう。
また、たとえば、冬至は魂のスタートライン、春分は、現実を生きている自分のスタートラインととらえて、それぞれの日に「これからの1年をどう生きていきたいか」を明確にするのもひとつの方法です。
世界の歴史をみても、古代から冬至が特別な日として位置づけられてきたことは間違いありません。
そういう日に、現実的なことは抜きにして自分の内側から出てくる純粋な欲求を見つめることは、新しい展開を生み出すきっかけになるかもしれませんね。
また、当サイトの夏至がテーマの記事に、「護符を作って冬至まで持ち歩く」というワークがあります。
このワークをやった人で、そこに込めた願いが冬至までに叶わなかったという人は、次の夏至までそのまま持ち続けましょう。
「ある程度いいところまでいった」とか「達成できた」という場合は、冬至のタイミングでその紙を燃やして、思いを天に還しましょう。
冬至とクリスマスと暦
冬至の数日後には、クリスマスがやってきます。
クリスマスといえばイエス・キリストの誕生日ですが、実は、本当の誕生日は12月25日ではなかったという説があります。
調べてみると、キリスト教が広まる以前から、ゲルマン民族やケルト民族には冬至の頃に盛大なお祭りを開催してきた歴史があります。12月25日は、彼らが崇拝するミトラ教の太陽神の復活の日だったのです。
そこでキリスト教の布教者たちが、その日をキリストの誕生日とすることによってミトラ教との融合を図り、彼らを取り込んでいったとする説があります。
昔は、村とか部族とかごく小さい単位で時間を共有していました。いつ頃に農作物の種をまくとか収穫するとか、そういうところから、先人たちが記録を残したのが始まりのようです。
でも、だんだん国単位での統治が進む中で、地域によって時間がバラバラでは困るということで、みんなに共通の「24時間365日」というサイクルが始まったといわれます。
日本にももちろん暦師の人たちがいて、協会もあるそうです。また、近江八幡にある近江神宮には時計の神様が祀られていて、年1回、6月頃に、有名ブランドも含めて名だたる時計屋さんたちが集まるのだとか。
冬至におすすめの開運行動とは
一陽来復のお札をもらう
穴八幡宮は、新宿区西早稲田にある神社。毎年、冬至から節分までの期間に一陽来復のお守りが授与されます。冬至の当日は、早朝から行列ができるほどの人気です。
一陽来復のお札をどの向きで飾るかは、毎年変わります。その年の歳徳神の方角(恵方)を向くようにしないといけないので、その反対側の壁に飾ることになります。
「ところで一陽来復って何?」という人のために、ちょっと解説しましょう。
一陽来復とは、元々「易経」に出てくる言葉です。
辞書的には次の3通りの意味があります。
- 陰が極まって陽がかえってくること。陰暦11月または冬至の称。
- 冬が去り春が来ること。
- 悪い事ばかりあったのがようやく回復して善い方に向いてくること。
(広辞苑第五版 岩波書店)
一陽来復は冬至の別称であると同時に、明るい兆しを表す言葉でもあるわけですね。
誰しも、良い運をつかみたいし、パッとしない時期が続けばなおさらですね。一陽来復のお札が縁起物として人気なのもうなずけます。
一陽来復のお札では、穴八幡宮がおそらく一番有名ですが、お札を授与している神社は他にもあるので、運気アップを願う人はいただいてみてはどうでしょうか。
夜更しを避ける
エネルギー的に下降から上昇へ転じたとはいえ、冬至はまだまだ停滞期です。
この時期の私たちは、活動するよりも休息をとることが大事です。
冬至は休息の時期。そして、人間は基本的に、夜になったら寝るのが自然です。そういう時に夜遅くまで活動していると、やはり体のリズムも狂いがちになりますね。
ただし、万人が絶対に昼型の生活をすべきということではありません。個人個人のバイオリズムもあるからです。
たとえば、お昼から午後にかけてノンアクティブな時間帯がある人は、もし可能なら短時間の昼寝をすることで、仕事や家事などの効率を上げることができます。
というわけで、あまりガチガチに考える必要はないみたいです。
早めに床についてちゃんと眠れる人は、早めに寝る。それが難しい人は、自分のバイオリズムや生活環境に合った方法で、それなりに規則的で十分な睡眠時間を確保する、という感じでどうでしょう。
体を温めること、適切に食べること、よく眠ること、そして希望をもって過ごすことで、みなさんが健康にこの冬を乗り切れますように。
まとめ
Summary
- 冬至は北半球で最も昼が短い日
- 2024年の冬至は12月21日
- 日の出が一番遅い日、日の入りが一番早い日、どちらも冬至ではない
- 冬至は陰が極まって陽に転じる日
- かぼちゃを食べる風習は古い祭りの名残
- 動物性油脂や冷たい食べ物は避ける
- 温かい汁物、冬の五行の食べ物、根菜類を食べる
- ゆず湯は体を温め邪気を祓ってくれる
- 冬至を魂の再生の日と位置づけてみよう
- 夏至に作った護符の願いが叶っていたら紙を燃やそう
- キリストの誕生日は冬至に合わせて変えられた可能性がある
- 冬至の別名は「一陽来復」
- 穴八幡宮の一陽来復のお札がおすすめ
- 冬至の時期の夜更かしはNG