「風水って、よくわからない」
「風水で開運するしくみってどんなもの?」
そんなあなたのために、この記事では、風水とその基本思想について解説します。
風水とは、カンタンに言えば気を整えること。
その根底にある陰陽五行説は、この世のすべてのものを「陰陽」と「木、火、土、金、水」の五元素に分類し、それによって宇宙の法則を説明する考え方。
最低限この二つをおさえておくと、風水のポイントがわかります。
さらに、「運気を上げる行動」のヒントもつかめます!
取材・文
長谷川 恵子(ライター・編集者)。
企業勤務を経て、フリーライターとしてビジネス誌や企業、自治体の広報誌の取材・執筆に携わる。現在は書籍制作とWebライティングで多忙な日々。
監修:横浜中華街「盛華」
陣崎 マリア(風水師・九星気学鑑定士)
横浜中華街コンシェルジュ。運勢・運命・家相・方位鑑定を得意とする。手相でもプロの資格を持つ。
張 愛りん(風水師・九星気学鑑定士)
横浜中華街コンシェルジュ。サイキック能力を活かした運勢・運命鑑定を得意とし、 西洋占星術の資格も持つ。
風水とは気を整える開運法
私たちが生きる大地には、つねに目に見えない「気」(エネルギー)が流れています。
簡単に言えば、風水とは、その場の気の流れを見て適切な状態に調整することです。
そうやって気が整ったときに、場所や人に開運が起きるのです。
お店の気が整えば繁盛店になるし、家の気が整えばそこに住む人の運気がアップするわけですね。
人間の体も、体内を巡っている気が滞ると不調になります。そこで東洋医学では、身体の表面にある経穴と言うツボを調整しながら気の巡りをよくしていきます。考え方はそれと同じです。
風水とは「大地の鍼灸術」みたいなものだと思ってください。
現代風水の主流は陽宅風水(住宅の風水)
風水というと、多くのみなさんは「西に黄色」や「龍の置物」などをイメージするかと思います。でも、もちろんそれは風水術のほんの一部にすぎません。
本来は、大きく分けて次の3種類の風水があります。
風水の種類
- 地理風水(土地の風水)
- 陰宅風水(お墓の風水)
- 陽宅風水(住宅の風水)
昔は陰宅風水が中心で、「お墓をどんな場所に建てるか」が非常に重視されていました。昔の人は、それこそ全財産をつぎ込んでお墓の建設地を確保していたのです。
でも、時代とともにいろいろな規制が生まれ、勝手に好きな場所にお墓を建てることはできなくなりました。
そこで今度は「良い環境の所に住もう」ということで、陽宅風水が始まったのです。
ところが、これも思うようにできなくなりました。都市部はどこもビルや道路に囲まれ、家を建てるのに理想的な土地を見つけるのが難しくなったからです。
そこで、「今いる場所を整える」という方向にシフトして、部屋を整えるためにさまざまな手法を使うのが、今の風水の主流です。
風水は陰陽五行説(陰陽五行思想)に基づいて気を調整する
風水の基本にあるのは、陰陽五行説(陰陽五行思想)という考え方です。
陰陽五行説は、陰陽説(陰陽思想)と五行説(五行思想)の組み合わせでできています。
古代中国で生まれた思想で、本来はとても複雑で奥が深いものですが、それぞれのポイントを簡単に説明していきましょう。
陰陽説…万物は陰と陽で成り立っている
陰陽説とは、「万物は陰と陽という反対の性質を持つ2つの要素で成り立つ」という考え方です。
- 陽のグループに属するもの=太陽、火、昼、天、動、表、生、男性など。
- 陰のグループに属するもの=月、水、夜、地、静、裏、死、女性など。
これを見ると「陽のほうがポジティブでいいのかな」と思う人もいるかもしれませんが、そこに良い悪いはありません。「陰と陽があってすべてのバランスが整っている」という考えが陰陽思想です。
その考え方を図に表したものが「太陰太極図」です。
この図では、陽は白、陰は黒で表されています。でも、陽は「真っ白」で陰は「真っ黒」なのかというと、そうではありません。
実は、どちらにも必ず少しだけ反対のものが混じっているのです。対極図の黒い点と白い点に注目してください。白の中にはちょっと黒があるし、黒の中にはちょっと白があります。つまり、完全な陽や完全な陰の存在はないということです。
そして、冬の終わりに春の兆しがあるように、ひとつの現象が終わろうとするところには必ず次の始まりがあります。
「陰極まれば陽に転ずる」「陽極まれば陰に転ずる」とは、そういう意味です。
五行説…五つの元素(気)が影響し合い、変化する
五行説も古代中国が発祥で、「万物は『木、火、土、金、水』という五つの元素(または気)でできている」と考えます。
たとえば五行で「木」に分類されるものというと、植物や木の製品の他、方位では東や東南、色では緑や青、季節では春、臓器では肝臓、食べ物では酸味のあるもの、等々。
同じように他の五行も、火なら火、土なら土、同じ気を持つ同士のグループがあります。
下に、いくつかの例を挙げてみましょう。
五行が象徴するもの
五行 | 方位 | 季節 | 色 | 内蔵 |
木 | 東・南東 | 春 | 緑・ターコイズなど | 肝臓・腸 |
火 | 南 | 夏 | 赤・紫 | 心臓 |
土 | 南西・北東 | 土用 | 朱色・黄色・黄土色・紺など | 脾臓 |
金 | 西・北西 | 秋 | 白・シルバー・ゴールドなど | 肺 |
水 | 北 | 冬 | 黒・グレー | 腎臓 |
そして「行」には「動く」「巡る」などの意味があります。
とにかく宇宙にあるものすべて、何もかもが五行のどれかに属し、互いに作用し合っているという世界観なのです。
五行説をひもとくと、それぞれの元素(気)の意味、性質と、互いに与え合っている影響がわかります。
五行の関係(相生と相剋)
基本的に、五行には次の二つの関係性があります。
- 相生(そうしょう)……エネルギーを生み出す関係
(例:木が燃えると火が生まれるので、木と火は相生) - 相剋(そうこく)……エネルギーを抑制する関係
(例:金属の斧やのこぎりは木を切るので、金と木は相剋)
これを簡単にまとめたものが下の図です。
五行の図
以上のような陰陽説と五行説の考え方を組み合わせたものが陰陽五行説で、五行のそれぞれに陰と陽があると考えられています。
なので、たとえば木にも、陽の木と陰の木があります。前者は大きな木や成熟した木、後者は草花や切り花などを表します。
こうした観点から私たちの環境を調べ、気が整っていない部分があれば、さまざまな方法で気の巡りが良くなるようにしていくのが風水の基本です。
陰陽五行説と占い
陰陽五行説は、風水だけでなく、宗教、天文学、医学、武術などさまざまな分野に影響を与えています。
さまざまな東洋系の占いのベースにもなっています。
四柱推命、算命学、九星気学、それに四柱推命をベースとした個性心理学(動物占い)もそうです。納音(なっちん)という占いもあります。
陰陽五行から見た相性
相性を見るときは、基本的に五行(木火土金水)の巡りで見ます。
一般的に、五行の図で隣同士にある要素(相生)同士は相性が良く、1個とばした位置にある要素(相剋)同士は相性が良くないとされています。
相性が問題になってくるケースといえば、やはり人間関係ですよね。
人に関しては、生まれた日にちで五行のどの性質に属するかが決まるので、そこからひもといていきます。でも、そこでの考え方は、相手が友だちか、同僚か、上司か、恋人かによって変わってきます。
火の人と水の人だとしたら、水は火を消す存在で、五行の中で最も合いません。でも、全然性質が違うので、仕事をする上ではお互いにない部分を補い合えるというメリットがあります。
また、木の人と土の人も相性が良くないとされますが、木は土から栄養をいただいていますよね。実は、土は木にとってすごくありがたい存在なのです。
自分が剋される相手は、自分の成長を促してくれる存在といえます。逆に自分が剋す相手なら、自分が甘えられる存在です。
そういう意味で、相生だからよい、相剋だから悪いと決めつけず、もっと柔軟にとらえたほうが豊かな人間関係をつくれるでしょう。
モノとの相性もバランスの問題なので、これも一概には言えません。
一般向けの占い本などでは、万人に共通の部分を取り出して説明されていますが、それだけに非常にザックリしています。
でも実際は、その人の生年月日から割り出すと、たとえば「火の性質なのに、火のエネルギーが弱い」という場合もあるのです。
そういうときは、火を生じさせる木よりも、火の性質を持ったモノを身の回りに取り入れるほうが、より強力なプラスになります。
こんなふうに、五行の相性をしっかり調べようとすると、深い専門知識が必要になってきます。占術によっても解釈が異なる部分があります。
万人向けの占い情報でわかる相性は、あくまでもひとつの側面であると覚えておきましょう。
まとめ
Summary
- 風水は、気の巡りを調整して開運をもたらす「大地の鍼灸術」
- 風水には、地理風水、陰宅風水、陽宅風水の3種類がある
- 風水の基本には、古代中国で生まれた陰陽五行説(陰陽五行思想)がある
- 陰陽思想とは、万物は陰と陽に分かれ、そのバランスで世界が成り立つという考え方
- 五行思想とは、万物は五つの元素のどれかに属し、影響し合っているという考え方
- 多くの東洋系の占いも陰陽五行説を基本としている
- 相性は主に五行で見るが、正確な判断には専門知識が必要
陰陽五行説の考え方は、実際は奥が深くて難しいもの。でも、基礎的なところだけでも知っておくと、風水のコツをつかみやすくなります。このサイトのほかの記事を読むときも理解の助けになるので、必要を感じたらまたここで確認してみてください。